うんじゃくせしぼんを開く。

読んだことのある本などの感想をかいていこうとおもいます。記事はダウンロードできません。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12巻 感想.zip

たとえ、その選択を悔いるとしても 

バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。
そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。
その依頼に対して、今までとは違ったやり方で取り組むのは、三人にとっては自然な流れのはずだった。
それが、自分たちの求めていることなら――。
たとえ、その選択を悔いるとしても。
時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて――。
雪乃、結衣、八幡。それぞれの想いを胸に抱えながら、各々が選択する「答え」とは。
新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。シリーズ12巻。 

 

実に2年ぶりに発売された俺ガイルの新刊、11巻が発売した当時はこの作品にどっぷりとハマっていた時期でした。

2年の歳月は長く、他の作品に手を出していったせいか、この作品を読み返す機会も少なくなっており、私の熱はひどく冷めていました。

実際、新刊の発売を聞いても、特に胸に来るものもなかった程です。


しかし、今回の新刊は自分の冷めていた気持ちが戻ってくる十分な作品だったと思えます。
今回、八幡、結衣、雪乃の3人のそれぞれの考え、想い、願いが明らかになっていきます。

そして、彼らの関係性もはっきりと言及されます。前回ではまだ曖昧で形と成していなかったものが今回でようやくしっかりとした言葉として浮かび上がってきました。


冒頭の彼の想いも途中でこっそりと暴かれた彼女の秘めた想いも最後に決着を見せた彼女の想いも全て読んでいて、この作品もようやく終わりを迎えるんだなって思いました。

小町の受験の合否の結果も平塚先生の事も明らかになったので、終わりの予感が大きく強くなっていきます。
どんな物語も終わるのが当然です。

ですが、それでも終わってしまうのがひどく寂しく感じました。


読了後、2年で冷めきっていた気持ちはすっかり戻っており、また今までの既刊を読み返したいと素直に思いました。


次が出るのがいつになるのか分かりません。ただ、今度は早く新刊を出してくれる事を祈ります。
この作品の終わりを展開から節々と感じて寂しさを覚えながらも、非常に楽しませていただきました。最後まで読んでいこうと思います。

 

NieR:Automata 長イ話 感想.zip

 アンドロイドが人類の栄光を夢見るとき、
機械生命体はヒトのユメを見るか?

著者:映島巡、監修:ヨコオタロウで贈るPS4ゲーム『NieR: Automata(ニーア オートマタ)』の長編ノベライズ。
ゲーム本編裏側のエピソードを語りながら、各キャラクターの知られざる心情を浮きぼりにする!

 当書は資料集に掲載されていたストーリー小説を補完したような形になっており、省かれているストーリー箇所有り(宗教団体など)各キャラの心情がより詳しく書かれています。特に9Sから2Bへの想い。エミールやヨルハ計画のフィクサーなどの新情報は全くありません。
これまで引っかかっていた幾つかの行動の謎がキャラ主観で説明されているのでわかりやすいです。9SのE型認知、A2の断髪。例えばA2の断髪理由は「ヨコオへの50の質問」では同型への哀悼とされていましたが、それが主観で少し掘り下げられます。  

 

 ゲーム→小説化にありがちな物語の改悪も無く、文章も読み易く、ゲームに対して抱いた世界観をそのままにキャラクターの感情を掘り下げて描いてあり、面白かったです。
小説というよりは、ゲームのストーリーを今一度辿りながら心情を細かく書いていったという感じでしょうか。丁寧な描写なので脳で映像化しやすいです。ゲームでは描かれなかった物語が読めるぜ!とおもって購入するとこれじゃない感になるかもしれません。

 

死ぬほど読書 感想.zip

本を読む人にしか、わからないことがあるーー。

もし、あなたがよりよく生きたいと望むなら、「世の中には知らないことが無数にある」と自覚することだ。
すると知的好奇心が芽生え、人生は俄然、面白くなる。
自分の無知に気づくには、本がうってつけだ。
ただし、読み方にはコツがある。
「これは重要だ」と思った箇所は、線を引くなり付箋を貼るなりして、最後にノートに書き写す。
ここまで実践して、はじめて本が自分の血肉となる。

伊藤忠商事前会長、元中国大使でビジネス界きっての読書家が、
本の楽しみ方が二倍にも三倍にもなる方法を指南。
本好きを唸らせる一冊。

 

本屋を家業とする家に生まれ、毎日30分以上を読書の時間に充て、仕事の傍ら年間150冊の本を読み、気になった文章はノートに書き写す習慣を持つ筆者が語る「読書論」。

筆者にとって教養のある人の条件とは「自分が知らないということを知っている」ことであり、「相手の立場に立ってものごとが考えられる」ことの2点であるという。そしてその教養を磨くものは、仕事と読書と人の相互の関係であり、人が生きている上で大事なことは、仕事と読書と人間関係とそこから来る人間に対する理解であると云います。

仕事や人との付き合いの中で体験した経験知や暗黙知と本に書かれてあるナレッジが相互に行き来することで、経験知と言葉が結び付き、それが人の中に定着します。それを筆者は「心のシワ」と云い、「心のシワ」が多い人は相手の「心のシワ」の有り様を理解出来ると云います。
「心のシワ」の数だけ、より深い人生を生きられるということこそ、筆者が云わんとする、本を読む理由に他ならないと感じました。

 

 

 

読まずに死ねない哲学名著50冊 感想.zip

「哲学書は難しい」と敬遠する人も多いでしょう。 
事実、哲学書には本当に難しい作品がたくさんあります。 
そもそも哲学者=文章の達人ではないし、独善・独断で書き散らす哲学者も少なくないというのも理由の一つです。 
だから、「読んで理解できないのは自分がバカなのでは!?」と自信喪失する必要はありません。 
とはいえ、本書では歴史的な背景や専門用語を徹底的にフォロー、 
高校生レベルの知識でも理解できるように内容を噛み砕き、哲学名著50冊の要点を的確に紹介します。 
プラトンからデリダまで、「そうだったのか! 」と膝を打つ解説の連続です! 

*帯イラスト:横槍メンゴ 

 当書では、古代ギリシャから現代に至るまでの哲学書50冊が、素人にも分かり易く解説されています。

有名な哲学書だからといって、その主張を全面的に受け容れるのではなく、問題がある部分についてははっきりとそう指摘しています。著者のこの姿勢には好感が持てます。

 

分厚い新書ですが、平易な言葉でまとまっていて、ひとつひとつが読みやすかったです。
最初に哲学史のチャートがあって、西洋哲学が概念による世界説明から始まり、中世ではキリスト教の絶対性を担保するものとして、近代では神を離れて「自由」「道徳」などの観念を打ち立てようとしたが、現代ではそれらの認識が崩された
という風に哲学の歩みを総覧できたのが良かったと思います。

古代期から時系列に沿って書かれていて、なぜそういった思想が生まれて、また批判されたのか、が分かるように書かれているので、次へ次へと知的興奮が止まりませんでした。
各書名の下に的確なキャッチフレーズが書かれていたのも文字どおり内容をつかみやすくて良かったです。