うんじゃくせしぼんを開く。

読んだことのある本などの感想をかいていこうとおもいます。記事はダウンロードできません。

弱キャラ友崎くん lv.4 感想.zip

こんなの無理ゲー?弱キャラvs女王再び!

人生で一番濃密だった夏休みが終わり、2学期。
俺と日南は少しだけ関係性を変えながら、それでも一緒に人生攻略を続けている。
さて、2学期はじめのイベント、球技大会。
日南から出された新たな課題は「やる気のない紺野エリカにやる気を出させること」。紺野エリカといえば、あの旧校長室で啖呵をきって以来、まともに言葉も交わしていない。だってこわいし。
俺はクラス内の観察を通して、紺野エリカに通用する「武器」を探すが――?

ボス戦再び!? 大ブレイク中の人生攻略ラブコメ、待望の第4弾!

 

ゲームという一芸に秀でた非リア男子高生が、対戦のライバルとリアルで逢い、
それが同級生リア充女子高生であったところから彼女の指導の下
人生というゲームに本気で取り組み、成長していくという物語。

ここまでは各巻毎に課題として設けられた相手として
異なったタイプの同級生女子高生と相対してきましたが、
それらで積んだ経験からレベルアップが為され、
今回は個を相手にすると言うよりはより広範な状況設定から課題が設けられています。
ここまでの展開に慣れてしまうと戸惑いを覚える方もおりましたでしょう。
また、本巻序盤から中盤までは球技大会において、女王キャラをやる気にさせるというもので
これまでにはない、読んでいる側も状況打破の為にどう手を打つか、
自分でも思い浮かべてみたりしたので、違った楽しみ方も出来ました。

前巻までと比べると展開としては余り緊張感は見られず
見ようによっては内容が薄く感じてしまわれる雰囲気はありました


しかしながら、実は中盤までの節々の描写が後半への布石ともなっており
後半に発生したトラブルはこれまでになく暗く繊細な難題となっており
残念ながら本巻終了までには解決しておりません。


クラス単位の集団内での問題であるだけに
個対個であった従来の単純さより要因が複雑に絡み
この事がここまで万事抜きんでた対応を示してきた万能の指導者日南をして
解決への思考と行動を鈍らせており、それは寧ろみようによってはチートキャラと思われた日南という少女も
実際には一個の女子高生であったと認識させられ、本巻の構成にも合点がいく思いでした。
前巻の後半から非リアで殻に籠もっていた主人公友崎とリア充日南が
それぞれ従来通らなかった方向へと更に踏み出した印象が有り
今後の更なる展開に期待感を抱きました。此迄以上に冒険範囲が拡大されて行くことでしょう。


最近のラノベの多くが主要キャラの能力、或いは幸運値が高く、
物語で作用する作者の調整力がより強く働き、余り苦労なく進められるのですが、
本作品においては現実味のあるキャラ設定に抑えられており、
また構成、表現が上手なので、最近の作品の中にあってはとても良作であると感じます。